どこへ行っても似たような人たちとしか会っていない
私は今のところ、きわめて狭い世界で生きている。 教員としても自らの高校時代と近しい環境を持つ高校に勤務しているし、友人関係は言わずもがなである。 各地を旅するような性格でもない。
一方、生徒たちの中には、広い世界を知りたいと思うことも多いようだ。 現実社会への興味と問題意識には頭が下がる。 しかし、世界と仕事をすることは、必ずしも世界を知ることにはならない。 これについて、カズオ・イシグロのよいインタビューがあったので残しておく。
俗に言うリベラルアーツ系、あるいはインテリ系の人々は、実はとても狭い世界の中で暮らしています。東京からパリ、ロサンゼルスなどを飛び回ってあたかも国際的に暮らしていると思いがちですが、実はどこへ行っても自分と似たような人たちとしか会っていないのです。
私は最近妻とよく、地域を超える「横の旅行」ではなく、同じ通りに住んでいる人がどういう人かをもっと深く知る「縦の旅行」が私たちには必要なのではないか、と話しています。自分の近くに住んでいる人でさえ、私とはまったく違う世界に住んでいることがあり、そういう人たちのことこそ知るべきなのです。
- https://toyokeizai.net/articles/-/414929
- 倉沢 美左
- カズオ・イシグロ語る「感情優先社会」の危うさ
- 東洋経済オンライン
- 参照 2024-11-12