データの分析と統計

旧学習指導要領(2022 年度高校2・3年生)でも新学習指導要領(2022 年度高校1年生)でも、数学においてデータの分析が扱われる。しかし、データの分析は統計的分野であり、統計学は数学を用いるが、現実にあるものを解釈するという点において、数学とは異なるものだとみることができる。

その裏付けのひとつとして、数学科の教員としてはデータの分析がたいへん教えにくいことが挙げられる。最も大きな理由として、他の単元における気構えとデータの分析において取るべき気構えがあまりにも違うことが思い浮かぶ。 そのほかに、統計を学ぶための足場となる数学を修められないまま扱わねばならないことがある。$\sum$ 記号も内積も知らずに相関係数を教えることは数学的とは思えない。正規分布に触れようものなら、それらの足下にはすべて目をつぶらざるを得ない。これでは、数学という教科で身につけるべき素養をむしろ遠ざける気がしてならない。

一方、高校のうちに統計の感覚をつかんでおくことは決して悪いことではない。たとえば、情報科などで扱うべきだったのではないだろうか。私も情報科の免許を持っているが、こちらはいわゆる生活に根ざした教科の色が強く、細かなことは棚上げにしてまずは手を動かすことに気持ち悪さがない。

いずれにせよ、向こう10年間数学科で扱うことは変わらない。持つことになった際に学べるよう、気になった記事をここに保管しておく。


  1. 奥村晴彦,統計の基礎。okumuralab.org,参照 2022-08-09。 ↩︎

  2. 奥村晴彦,分散は n で割るか n-1 で割るか。okumuralab.org,参照 2022-08-09。 ↩︎